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金の太陽 銀の月 〜銀月編〜


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どれほど気を失っていたのか、が瞳を空けると、利広が額付近に手を置き、そっと撫でているのが見える。

「利広…」

「気がついたね。冬器による傷らしい…。傷は三日ほど痛むようだけど…きれいに治るようだから」

「ありがとう…もし、利広が来てくれなかったら…」

そこまで言ったは、思い出して身を震わせる。

安堵感からか涙が溢れ出し、利広に包まれて長い間泣いた。













「落ち着いたかな…、遅くなってごめん。もっと早くに探しに行けば良かった…」

「来てくれたから…謝らないで…。あの男はどうなったの…?」

「大丈夫。捕らえた後、瘍医に見せたようだから。あの男はね…海客を売り払おうとした罪で投獄され、その後国外追放になっていたんだ。その海客と言うのが、姉さんなんだ」

「え…。それで海客かと聞いたのかしら…」

「そもそもの初めは、港町で姉さんに会い、抵抗したから財布を盗んで逃走しようとした。だけど兄さんが官府につきだしたんだ。どうやって許されたのか、詳しいことは分からないけど…。その二年後、隆洽に降りていた姉さんの前に現れた。その時はわたしと兄さんで捕まえて、国府につきだしたんだけどね…まさか戻って来ているとは」

「偶然、私に目を止めたのね…」

「海客や山客、それに荒民をたくさん見てきたから、直感で分かったのかもしれないな」

「利広は何故あの場所が分かったの?」

「…ただ、なんとなくね。月の元にがいるような気がして、あてもなく街を歩いていた。そうしたら耳飾りが一つ、串風路に落ちているのを見つけてね。そこからは簡単だったよ。同じ石が、点々と続いていたからね」

利広はそう言うと、袂からばらけた連珠を取り出した。

「あ…あの時…」

気を失う直前、連珠の音を聞いたのを思い出す。

あの時切れたのだろう。

上手い具合に少しずつ落ちて、利広を導いたのだ。

「利広…」

は利広に手を伸ばし、それが包まれるのを見つめていた。

「隣に来て欲しいの」

しかし利広は首を横に振る。

「嫌…なの…?他の人が触れたから?」

それにも同じように首を振って、利広は静かに言った。

「体に触るからね」

「それでもいいの…利広に触れていないと、恐い…」

利広はしばし逡巡したが、ややして頷く。

そっとの体を移動させ、隣に寝ころび、再びの手を取る。

それを見たは大きく息を吐き出して言う。

「もう恐くない…わ…でも利広…手を離さないで」

「分かった。手を離さずにいる。だから少し眠ろう…」

は小さく頷くと瞳を閉じる。

隣に利広の温もりを感じながら、安らかな眠りについた。

































を浚った男は国外追放を取り消され、百年の投獄が決まった。

利広の言った通り、の傷は三日で痛まなくなった。

その傷跡が完全に消えるのに、さらに二週間を要した。

今は完全に消えた傷のあった場所を、はそっと触ってから外に目を向けた。

張り出した露台に腰を下ろし、水上の景観を眺めていた。

幾重にも連なる橋と、白い宮殿に流れる水と光が反射し世界を彩る。

「幻の世界にいるようだわ…」

広がる景観を眺めていると、先日の出来事が夢のように感じた。

月の光がいつもより眩しく、冷たい風が肩に当たる。

呟いたの背後に、利広が歩み寄る気配を感じた。

利広は何も言わぬまま背に立ち、の前に手を出した。

じゃらっ、と石の音が聞こえ、利広の手には連珠が握られていた。

ばらけた連珠は元通り連なっており、の首に利広の手によってかけられた。

「月の連珠…利広、ありがとう。それから、耳飾りを無くしてしまってごめんなさい…」

振り返り言ったの瞳に、月明かりの中で微笑む利広が映る。

連珠を持っていた利広の手は、の肩に置かれた。

「体が冷えているよ」

「ええ…でも、ここからの景色がとても綺麗だったから」

「ではこうしよう」

利広はを包みこみ、体を密着させる。

ほわりと温もりが伝わり、腕にそっと自らの手を添える。

「温かい…」

「いつでも温めると、言っただろう?」

「ええ…本当だったのね」

、好きだよ」

唐突に告げられた言に、は頬を染めて微笑む。

引かれるままに立ち上がり、温かい房内へと進んでいった。





















国府にの協力を仰ぐ青鳥が届いたのは、それから三日経った夕刻だった。

利広からそれを受け取ったは、書かれた内容を苦労しながら読んだ。

「県城からだわ…瓶が流されて来たって…。中に紙が入っていて、何か書いてある?」

自信なさそうに笑ったは、確認のために利広に渡す。

「そのようだね。何か文字が書いてあるが、見知らぬ文字が多くて分からないとあるね。国府でお許しが出るのなら、来てほしいとあるけれど…明日にでも向かうかい?」

「一緒に行ってくれるの?」

「もちろんだよ」

微笑んだ利広に、は礼を言って微笑む。

慣れない手つきで返事を書き、青鳥を港に向けて放った。























翌日、二人は宮城を出た。

一路、港を目指して空を行く。

夕刻に到着し、早々に舎館を探した。

官府には翌日向かうと告げていた。

「手紙かしら…?」

西日の射す舎館の窓から、外を眺めていた利広にの声が届き、それによって顔は往来から離れ房内に戻ってくる。

「手紙?蓬莱や崑崙は、手紙を瓶に詰める?」

「いいえ。でも、夢を求めて流す人がいるの」

「夢?手紙に?」

「ええ。簡単な自己紹介を書いて、返事を下さいって。瓶に詰めて、川や海に流すのよ。運が良ければ誰かが拾ってくれる」

「ああ、なるほど。それは確かに夢があるね」

「ええ。でも崑崙の文字で書かれているのなら、私には読む事が出来ないわ」

はそう言うと、少し考えてから言う。

「瓶が流れて来たと言うことは…近くで蝕があったのかしら」

「それはどうだろう?以前に流されて来たものが、今になって辿り着いたのかもしれないよ」

「あ…そうね。その通りだわ」

の母の衣類も随分長い間、流れ着かなかったのだから。

凄然(せいぜん)とした空気がを包み、利広は思わず手を伸ばす。

「利広…?」

しかし利広は何も言わずにただを抱きしめていた。

何を考えているのか、問いかけるのは辛いだろうと判断したのだった。

は包まれている意味を理解したのか、利広に囁くように言った。

「大丈夫よ利広…私にはあなたがいるもの。例え新たな母の遺品が届いたと言われたって、もう…大丈夫なの」

初めての口から遺品だという言葉が出て、利広はの心情の変化に気がついた。

この世界を受け入れ、歩き出したように感じたのだった。

、好きだよ。誰よりも愛しいと思う」

ささやかれた愛に、は俯いて頬を染める。

その顔を上向かせた利広の、温かな唇が静かに重なった。

「こうしていても、は消えてしまいそうで…時々、不安になる」

唇を離すと利広はそう言い、僅かに潤んだ瞳に向かってそう言った。

「私は消えたりしないわ…だって、何処に消えろと言うの?」

小さな声で答えたの頬は、まだ赤いままだった。

利広は微笑んでそれに答え、再び口付けを落として抱き直した。

離してしまわないようにと、しっかり包まれたは、利広の胸元に頬を預けて瞳を閉じた。

鼓動と温もりが安堵感を招き、包まれる事に喜びを感じていた。



続く






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久しぶりに戻って参りました。

赤海の港町です。

              美耶子

    

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