ドリーム小説




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金の太陽 銀の月 〜太陽編〜


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しばらく泣いた後、は照れくさそうに笑って利達に向う。

「ごめんなさい。急に泣いたりして…」

「構わない。わたしも突然知らない世界に出されれば、自失してしまうだろうから…その、大丈夫か?」

「うん。もう平気」

「本当に…?」

「…うん。だってね、戻れないんでしょう?二度と帰る事が出来ないんでしょう?なら、泣いても笑っても一緒でしょ?それなら泣いているより、笑っていた方がいいもの」

恐ろしいほど前向きな発想に、利達の顔に笑みが生まれた。

「わたしで何か力になれる事があるなら、何でも言って欲しい」

そう言うと、はくすりと笑って利達に言う。

「利達は巧の人と同じように親切ね。それに言葉が通じる。充分よくしてもらっているわ」

「そうか…でも何か…ないだろうか?具体的にあれば何でも言ってほしい」

「お腹一杯食べたし、夜露を凌ぐ部屋がある。今の私にこれ以上の幸せがあるとするなら、家に帰る事が出来るって言われるぐらいだわ」

「…海客は虚海を超える事が出来ない。来る事は出来ても、意思の力で向こうへと行く事は…出来ない」

「それじゃあ、今と変わりないって事よね?なら悲観するもんでもないわ。今までなんとか生きて来られたんだし、より良い暮らしを求めて奏に来たんだもの。それなら、今より良くなるって事でしょう?」

「そう…そうだな」

「はあ、泣いたらお腹空いちゃった。さっきの、残すんじゃなかったわ」

「はちきれそうなお腹を抱えて泣く女性もどうかと思うが…」

利達の言った事に噴出した

彼女を取り巻いていた陰鬱な空気は晴れ、穏やかに流れ始めていた。

「利達って優しいね」

ふと思い出したように言ったの声に、利達の動きが止まる。

「あ、照れた?」

笑い含みに言われた言に、利達は真顔を作って答える。

「大人をからかうもんじゃない」

「からかってないわ。思った事を声に出してみただけ。そう言えば、大人って?年はいくつなの?教えたくないならいいんだけど」

「…正確には覚えてないんだが。おおよそ六百ぐらいか」

「やっぱり教えてくれないのね。いいわ。無理には聞かないでおく」

「蓬莱には六百年生きた人はいないのだろうか?」

「いるわけないじゃない」

笑いながら言うに、利達は頷いて答えた。

「こちらでは探せばいる。多くはないが、確実に数名は知っている。年を取らず、怪我も病気もなく、死ぬ事もない。そのような人種がいる」

「そんな夢みたいな話…」

「こちらで蓬莱といえば、そのような世界だと信じられている」

「日本が?どうゆうこと?」

「伝説の国、蓬莱。世界の果てに存在し、苦しみや悲しみのない国だと伝えられている。そこには神仙が住まうと言う」

「まさか。神仙なんて、この世に存在しないわ」

「神仙ならこちらにも存在する。人が垣間見る事の出来る神は“王”だな。王に仕えるのは“仙”であり、仙と呼ばれる者達は仙籍にある」

「は…?」

「わたしは六百年前に仙籍に入った。だから六百歳と言えばいいだろうか。正確には覚えていない。なにしろ六百…」

「待って…待って!待って利達。それ以上言ったら、気絶してやるから」

おかしな脅しをかけて、利達の口を閉ざす事に成功した

直角に首を捻って腕を組んだ。

「…。うんと…。えっと…」

眉間に寄った皺と、難しい顔の

それを不覚にもかわいいと思ってしまった利達は、慌てて目を逸らしてやり過ごした。

誤魔化すために立ち上がり、臥室へと足を向ける。

「難しい事を考えずに、今日はもう寝たほうがいい。私は東の臥室を使う。は西の臥室を使うといい」

に背を向けたまま言った利達は、そのまま臥室に入ってしまった。

残されたのは、首を捻った海客の娘だけだった。



続く






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白背景用のボタンなのに…

間違えて濃い色を貼ってしまいました。

眠たいからっかなあ〜??

                       美耶子